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『よろず電脳 ありんこ』コラム: プリンタのインクを詰め替える

■インクジェットプリンタの「詰め替え用インク」を試みる
 私は、ヒューレット・パッカード(以下HP社と略す)のインクジェット式カラープリンターを長年(もう数年に及ぶので「ながねん」と言ってもいいだろう)愛用している。
 数年前の当時、やかましい上にたいへんに印刷速度の遅い他社インクジェットプリンタばかりしかない時代に、このHP社のプリンタは群を抜いて高速で(店頭でのデモを最初に見た時はあまりの速さに「最初から印刷している紙をただ排出しているだけなのではないか?」と疑ったほどだ:笑)、騒音も低かった(金切り声のような作動音の他社機に比べささやき程に聞こえたものだ)。また、前面給排紙タイプのために設置時の上下スペース・前後のスペースが小さくて済むことも魅力で(現在もそうだが、インクジェットプリンタは見た目はそんなに大きくないのに給紙のための上のスペース、排紙のための前面のスペースがかなり大きく必要で、実際に使う時に置き場所に困ることが多い)、また黒インクが「耐水性」であることもあり、購入以来数年、大いに気に入って使っている。
 ところで現在は、他社製インクジェットプリンタも高速化されているので印刷速度では特に本機にアドバンスはないものと思う。静音性については、他社プリンタをじっくり試す機会がないし比較もしていないのだが、以前のようにガチャガチャ、ガーガーいうようなことはなくなっているようだ。
 またそれ以上に、現在のプリンタは、写真印刷性能が向上し、縁なし印刷、耐水性・耐候性インクなどと機能・性能が格段にアップしている。
 さらには、インクが「独立タンク式」となっているものが多く、無くなったインクのタンクだけを安価に交換することができるようになっている。

 私のこのプリンタの用途としては、ビジネス用の墨一色の書類の印刷が最大の用途で、たまに、カラーでの印刷(地図や図版や、プレゼン用の書類など)、ごくたまに、写真などのフルカラー画像を印刷することがあるだけだ。そういう用途なので、現在においても数年前に買ったこのプリンタの機能・性能に不満はない。
 ところで私がこのプリンタにおいて最も問題と感じていることがある。それは、インクが独立したタンクではなく(モノクロ / カラー3色一体)、しかもインクカートリッジにノズルが組み込まれているタイプのため、非常に高価である、ということだ。
 それぞれ他社に比べてかなりインクの容量は多いようだが、モノクロインクは市価約¥3,200、カラーインクは約¥3,800もする。
 そこで、他社から発売されている「詰め替え用のインク」をいろいろ試してみようと思うのは、経費節減の精神から当然のことであろう。
 いろいろ試し、ずいぶん失敗をした。しかしそのおかげでだんだんコツがわかってきたように思う。
 以下、私のお勧めの詰め替え用インクと詰め替えのやりかたをご紹介する。

□モノクロインク(HP社製「45/29/40」インク対応):
    サンワサプライ INK-HP694(定価\2,800/実売\2,000前後)
 (「耐水」ブラックと書いてある方。同系列の商品で耐水でないのもあるので注意)
 ボトルの先が細くなっていて直接注入するタイプ。柔らかい材質の容器を指で押して注入する。

[詰め替え方法](私の場合はHP社「45」プリントカートリッジへの詰め替え)

・基本的には、付属の説明書の通り。

・留意点1)モノクロインクをプリンタから取り外したら、モノクロプリントカートリッジを押さえる小さいふたを閉じ、プリンタのふたも閉じておくこと。そうするとカラーインクカートリッジのヘッドが乾かないで済む。

・留意点2)ティッシュを大量に用意すること(私は10〜20枚使う。カラーだともっと使う)。
 インク補充作業中はヘッドが上に向く形になるが、その時、折りたたんだティッシュで常にヘッドを覆って、インクをティッシュに吸わせること。こうすると作業中にヘッドが乾いて詰まる、ということがない。

・留意点3)インク補充は少なめにし、補充が済んだら軽く振って中のスポンジ(?)に浸透させるようにする。それからヘッドを下向きにし、漏れてくるインクはティッシュに吸わせる

・留意点4)インク補充が済んだら、ヘッド、ヘッドの周囲、銅色の金属でできた端子板をきれいにすること。汚れていると正常に動作しないことがある。汚れが落ちにくいときは綿棒にごくわずかな水をつけてそっとこするとよい。

・ノズルの詰まりが発生した場合は、別記参照

・ヘッドからインクがだらだらあふれることがままある。そういう時は、あふれ出なくなるまでインクをティッシュに吸わせる(もったいないけど仕方がない(^^;)。

・慣れないと作業は20分以上かかることがある。しかも手が真っ黒に(笑)。

□カラーインク(HP社製「78」インク対応):
    ELECOM THR-022H(定価\2,400/実売\2,000前後)
 これも、ボトルの先が細くなっていて直接注入するタイプ。容器のお尻の蓋を開けると空気が入って大気圧で注入される。
※注:上記に「大気圧で」と記載したのは付属の説明書の受け売りだが読者から「間違っている」と批評を受けた。大義においては間違いではないと思うが、読者からの批評に言う一般常識的には「自重落下式」と書くのが妥当だという指摘には同意する。
[詰め替え方法]

・基本的には、付属の説明書の通り。色を間違えないように!(笑)

・留意点1)モノクロのときと同じく、インクカートリッジを取り外したらプリンタのふたを閉じて、プリンタに取り付けてある方のインクカートリッジのヘッドが乾かないようにする。

・留意点2)同じく、ティッシュを大量に用意すること。
 インク補充作業中はヘッドが下を向いた形になるが、その時、細長く折りたたんだティッシュをヘッドの下に置いておく。そして、作業中に少しずつティッシュの上を縦に動かしていく(縦に、というのはヘッドの長手方向にと言う意味)。そうすると作業中にヘッドが乾いて詰まるということがなく、また、インクの色が混ざってしまうということもない。
 ティッシュの同じ場所にずっとヘッドを押し付けていたり、横(3色のインクのヘッドが並んでいる方向)に動かしたりすると、インクが混じってしまう。
 ティッシュは、1色のインクを補充するたびに(またその途中でも必要に応じて)取り替える。だから最初から3、4枚のティッシュを細長く折って用意しておくといいだろう。

・留意点3)インク補充は少なめにし、補充が済んだら軽く振って中のスポンジ(?)に浸透させるようにする。ヘッドから漏れてくるインクは、ティッシュの面を変え(きれいな面で)、軽く押さえるようにして(または「縦に」軽くこするようにして)吸わせる。

・留意点4)インク補充が済んだら、ヘッド、ヘッドの周囲、銅色の金属でできた端子板をきれいにすること。汚れていると正常に動作しないことがある。汚れが落ちにくいときは綿棒にごくわずかな水をつけてそっとこするとよい。

・留意点5)ヘッドが詰まって出ないときには、インク補充口に唇を押し当て、思いっきり吹く。そして、細長く折りたたんだティッシュにヘッドを押し当てつつ縦方向にこすってみる。それでも出ないときには綿棒にごくわずかに水をつけ、出ない色のヘッドをそっとなでてみる。これを何度か繰り返すと出るようになることが多い。それでダメなら、別記参照。

・インク詰め替えの済んだプリントカートリッジをプリンタに取り付けると自動的にテスト印刷が行われるが、その結果を見て、ノズルの詰まりがあるようなら取り外し(そのときに他のインクが乾かぬようふたをしめるのを忘れないように)、上記「留意点5」の作業をやってみる。
 プリンタのツールボックスに「インクの吸引」という項目があるが、それよりも口で吹いた方が早い。そうやってインクが出ない場合は「インクの吸引」をさせても回復の見込みはない。

・作業は、慣れていても20分くらいはかかる。「詰まり」発生などすると数十分を要することもある。

□カートリッジの詰め替え可能回数について
 実はあまり気にしていないし、上述のように半量程度づつ詰め替えているために、実際のところ「新品相当にして何回分、詰め替えができるのか?」についてはさっぱりわからない。
 これは、インクの量にしても、カートリッジの耐久性についても、両方について、である。
 カートリッジの耐久性については、私は「かなり耐久性がある」と感じている。おそらく5回分くらいではきかない回数の詰め替えを実施してなお使える(いま使用中のカートリッジはたぶん1、2年前に新品をおろしたものだと思われる。その間、黒の詰め替えインクは2回くらいは買ったと思う)。

□カートリッジの寿命判断 (追記:2005.6)
 これまで何度も詰め替えを行って来て、ついに、というかとうとう、寿命だろうと思われる状態になった。
 それは、インクを詰め替えたカートリッジをプリンタに取り付けるとプリンタツールボックス(というHPプリンタ専用のソフト)において「警告」が出るのだ。警告情報に曰く「カラー(モノクロ)・インクカートリッジのインクが少なくなっています」と。そして「推定インク残量」タブを見てみると「0%」になっている。
 とりあえずカートリッジをはずして、振ったり、ノズルを拭いたり、接点部分を掃除したりしてみたが警告は出続ける。やはりこれは、カートリッジの寿命が来た、と潔くあきらめるべきなのだろうな。

ノズル詰まりの発生と解消 (追記:2002.6)
 インク詰め替え作業中ノズル詰まりは発生していないが、長期間プリンタを使わなかった時には(それほどの日数でなくても、インクが無くなりかかっている状態で使わずにいるとほんの2,3日でも)、ノズル詰まりが発生してしまったことがあった。
 そんな場合にはとうてい潔くあきらめることなどできず、拭いたり・吹いたり・振ったり・こすったり、プリンタツールボックスの「プリントカートリッジのクリーニング」を何度もやったりする。しかし、すんなり解決する場合もあるが、どうしても直らない時がある。
 たかがプリンタのインクが詰まったのを直すのに、1、2時間以上もかかり切りでああだこうだとやり続けるのはあまりにもムダである。そう思って、これまではある程度であきらめていた。
 ところが今回は、あることを思いついて試してみたのである。
 それは「水およびアルコールをノズル表面から含浸させることによって乾燥・固結しているインクを溶かし、ノズル詰まりを解消できないか?」ということだ。
 それを思いついたのは、ノズル詰まりの発生原因は詰め替え用インクの品質不良でも純正インクと詰め替え用インクの化学反応でもないはずで(それだったらとうに頻発しているはず)、単に、インクが乾いて固まっただけという可能性が高い、と思ったからだ。
 手近にある水とアルコールの混和物…つまり私の場合愛飲している安いウィスキーをティッシュにたっぷりと染ませ、詰まりを発生しているインクカートリッジのノズル部分を押し当ててみた。拭くのでもとんとんと当てるのでもなく、ぐいぐい・べっちょりと押し当てる、という感じで。
 そうすると、驚いたことに(というか期待通り)、ノズル詰まりが解消して、ちゃんと印刷できるようになったのだった。めでたし、めでたし(^^)。
 必ずしも全てのノズル詰まりにおいてこの方法が適切であり解消に至るとの保証はないが、少なくとも解消可能性のある手段の一つとして諸兄のご参考になれば幸いである。

□その他のちょっとしたこと
・ティッシュは、駅前などで配っているポケットティッシュが便利。大きさもちょうどいい気がする。
 最初から重ねて折りたたんであるのも、この作業には適している。

・手に付いたインクは、普通に洗っても落ちにくいが、白いメラミン樹脂のスポンジ(なべやシンクが洗剤なしで水だけでピカピカになると謳って売っているあれ)に水をつけてこするときれいに落ちる。墨やペンキも落ちる。一度試してみて。

・インジェクター(プラスチック製注射器+長い針付き)方式の詰め替えインクがあるが、あまりお勧めしない。
 準備に手間がかかること、万一インクのボトルをひっくり返しでもしたら大惨事(笑)になること、使った後のインジェクターの手入れが必要なこと、などから。
 追記:これも読者から「安くて嬉しいのだが、だめか?」という質問のような嘆願のような(笑)声があったが、私は「あまりお勧めしない」と書いただけだ。十分注意して使うぶんにはなにも問題ない。

・ヘッド(ノズル)の乾燥防止については他にも色々試した。出荷時のプリントカートリッジのヘッド部がテープ(フィルム)で覆われていることをヒントに、セロハンテープを貼ったりもしてみた(密着せずインクが漏れて混色してしまった。またノズル詰まりも発生したがもしかしたらこれはテープの糊のせいかもしれない)。
 どうせヘッドからあふれたインクはふき取らねばならないのだし、上で紹介したティッシュを使う方法が一番失敗が少ないように思う。

・詰まったノズルの復活について
 何度か経験したが(詰め替え作業中に、ではなく、プリンタに取り付けた状態で何日も使わないでいると、詰まるのだ)、上述のように「吹い」たり「拭い」たりしてだめなら、どうも他に手はないようだ。アルコールや水をつけた綿棒でノズル面を拭いたりもしてみたが、復活しない。

・カートリッジの詰め替え可能回数について
 実はあまり気にしていないし、上述のように半量程度づつ詰め替えているために、実際のところ「新品相当にして何回分、詰め替えができるのか?」についてはさっぱりわからない。
 これは、インクの量にしても、カートリッジの耐久性についても、両方について、である。
 カートリッジの耐久性については、私は「かなり耐久性がある」と感じている。おそらく5回分くらいではきかない回数の詰め替えを実施してなお使える(いま使用中のカートリッジはたぶん1、2年前に新品をおろしたものだと思われる。その間、黒の詰め替えインクは2回くらいは買ったと思う)。
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