よろず電脳 ありんこ 書斎の綜合ソリューション: Anty
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参考: コラム:ソリューション喩え話

『ソリューション』選び。…その前に!

★竹槍で革命?
 竹槍で一揆は起こせても、一国の政権を交代させる革命までは達成できまい。
 道具である「ソリューション」も目的によって選ぶ必要がある。
 竹槍を手にしたからと喜び勇んで、訓練された完全武装の軍隊に向かっていったのでは簡単に倒されてしまうだけだろう。

★竹槍で鉛筆は削れない
 はじめに目的・目標ありき。目的・目標を忘れてはならない。
 目的達成のための道具である「ソリューション」の検討を先にするなど、論外。
 最初はナイフをという話だったのがいつの間にかナイフより竹槍の方が安い上に威力があるなどという結論になってしまって竹槍を用意したが、実は目的が鉛筆を削ることだった、ではどうしようもない。

★欲しかったのは七徳ナイフ?
 最初に目的を明らかにしたはずなのに、後からあとから「あれもこれもできたらいいなぁ・できるようにせよ」という話になることがある。
 実戦的で実用的な刀を作ろうとしていたはずなのに、できあがってみたら七徳ナイフだった、ということになる。七徳ナイフは、そりゃあいろいろなことができるかもしれないが…「ちゅ〜とはんぱやなぁ〜」(笑)。

★竹槍に蒔絵細工?
 竹槍に沈金や蒔絵などの装飾を施したもの、というのは見たことがない。
 かといって、釣り竿のように名人が曲りを直しバランスをとった実用的な竹槍の逸品というものも、見たことがない。
 竹槍は刀槍の安価で不完全な代用品であり、しょせんは使い捨ての道具でしかないからだ。
 近年の道具の寿命は短い。特にパソコン関連は「賞味期限3年。そのうちでおいしく食べられるのは2年まで」と見なくてはならない(あと残り1年は「それしかなければ我慢して何とか食える」だ)。
 目的をより明確にし、「見栄え」「めったにしない操作の使い勝手」「例外処理だらけ」などという無駄を省かねばならない。

★誰しも悪気はない
 みな良かれと思ってやるのだ、悪気はない。
 一生懸命やっているのは、わかる。だが、結果としてそれが裏目に出たり無駄になったりすることがある。
 それは、「何がどのように大事か」がいろいろな立場で違うから起こることが多い。
 必要性と利便性と合理性を明確化し、それぞれを整合させることは実はなかなか大変な作業だ。しかしその作業を経ずにIT化などしてしまった場合には…想像するだに恐ろしくも馬鹿馬鹿しいことになるだろう。
 IT化などのソリューションを検討する前に、問題点の洗い出しという意味を含めて、第三者的に事態を冷静かつ客観的に見て整理できるようなアドバイザーを起用するのも、有効であろう。

★幻術か?
 個々の作業なり仕事の中身について、合理化しようとして検討を進めると、今やっていることは全て必要でありかつ全てしかるべく行われており何ら改善の余地はない、というような気分になることがある。しかるに、全体としてみれば業務に無駄・ムラがあるのは明らかなのだ。だが、いくら考えても出口が見つからないのだ。まるで何か忍者の幻術にでもかかっているかのようだ(笑)。
 職場担当者レベルでの改善・合理化検討の限界の一例だ。
 目を眩ます幻術を解いてくれる術者たる、第三者の視点が必要になる。

★「諸悪の根元」は?
 そんなものはない!(笑)
 だいたい、いまどきそんな「わかりやすい大穴」をあけたままで存続していられる一般企業などなかろう。あったら、とうに潰れている(笑)。
 近年の企業の業務は高度化・複雑化している。問題の存在は感知できても、その原因や対策を見つけ出すのはなかなか難しい作業だ。
 社内の担当者を個々の問題の対策に走り回らせる、というのもソリューションの一つだが、全体的に第三者に診断してもらう、という方向性もあることを忘れていないか?

★上につぶされる?
 「改善」は「下」から、「改革(BPR、リストラ)」は「上(トップ)」から、というのが相場だ。逆ではうまくいかないことのほうが多いようだ。
 「よい案を上にあげても聞いてくれない。話をつぶされる」…よく聞く話だ。であれば、具体的な案件を提案する前に、改善目的・目標と予算と権限について、まず上の了承を得てはどうか?
 「このような問題があるので自分たちで改善したい」・「経費節減目標○○万円」などという目的・目標を説明して理解を得、そのための予算枠と何をどの程度まで自分たちで決めていいかという裁量権の枠を、あらかじめ上からもらっておく、という段取りを踏むのだ。

★せっかく刀をやったのに…
 上の話の続きだが、竹槍部隊に刀を配ってやったのに働きがよくならないで困る、ということがあるとしたら、それは殿様が悪い(笑)。
 まずは当然、使い方を教えなくてはならない。戦い方(戦術)が変わる。これは剣術師範たちにやらせればいい。
 家中に剣術師範がいないか足りなければ、市中に求めて雇うがよい。
 大事なのは、一つの部隊の竹槍が刀に変わったことが軍全体にとってどういう意味があるのかを教えることだ。軍師や家老、あるいは殿様自らが、部隊長や組頭たちに何度も言い聞かせる。これで戦略が変わる。
 戦術も戦略も変える気がない(どう変えていいかわからない)殿様は、配るなら刀ではなく金にしたほうがいい?(笑)

★殿ご乱心? …内々に済まそうとする無責任
 最近やたらに耳にするお役所の不祥事の話ではない(苦笑)。
 別名「ケチって大損」「お前に任せた!で大失敗」という話だ。
 よくある話だ。あるソリューションを導入しようという話が出たとき社内から「それくらいなら私ができますよ」と言う人物が現れ、それならそのほうが金がかからなくてよい(このとき、「実態をよく知っているし」とか「社内情報が外部に漏れずに済む」というようなもっともらしい理由が付け加えられることが往々にしてあるが)ということになってその人物に任せようということになる。
 「苦しゅうない。よきにはからえ」 かみ御一任、というわけだ。

 ところが…というお話である。
 この話の結末には、いくつものバリエーションがある。

1)…ところがいつまでたっても使い物になるようなソリューションができあがらなかった。

2)…ところができあがったのは良いが使い勝手も内容も良くなく、結局、外注して作り直しした。2度もシステム移行をさせられた現場は大混乱に陥り志気は地に落ち、かえって効率は低下しコストは上昇した。

3)…ところができたのは作った本人だけにしか仕組みがわからないような複雑怪奇なシステムだった。
 やがてその人物は会社によからぬ影響力を及ぼし始めたがシステムを動かすには彼がいなくてはならないので抑えることは誰にもできなかった。
 また、その人物が(ようやく)退社したあとシステムの保守ができなくなり、しかたなく外注して作り直した。
…などなどだ。

 問題が発生し「責任をとれ!」といわれて武士なら腹を切ったが、社員の責任の取り方などというものは「辞める」だけだ(余程の法的根拠がありかつ確実な損害賠償の見込みなくば、悪評が立つのを覚悟で訴追まではできまい)。
 切腹しようが辞めようが、どっちにしたところで問題の解決にはちっともならない!
 本当に必要なものを買うのに金をケチって社員の給料の範囲内で済まそうとした(とだけ断じられても抗弁のしようもあるまい?)そのツケは、当然、経営者が責任を取らねばならない。とばっちりを食わされた社員はいい面の皮である。


 …喩え話仕立てにしてみたが、さて、経営者やその補助的な役割にある「あなた」のお役に立つやら立たぬやら…(笑)。
Dec, 2006
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